気仙沼のふかひれ屋さん 気仙沼のふかひれ屋さん
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片隅の公園

湾奥に小さな公園が整備された。その記事が先ごろ地元新聞に掲載されたのを思い出し、所用の途中寄ってみた。コンパクトながら風情があってなかなかいい感じ。静寂の中、景観と澄んだ空気で鋭気が満ちる。ここは気仙沼が水産業の隆盛を極めた昭和2、30年代、缶詰工場があった場所。工場が閉鎖された後は創業家の邸宅に取って代わっていた。が、11年前の3.11震災の大津波で、そのお屋敷も消失。震災当時、小生、仮設住宅住まいの中、お向かいさんが偶然その創業家のご夫婦であった。お互い5年もの長い長屋(仮設)生活を送った。そんな縁もあり、折に触れ地域の昔話をご夫婦から聞いた。そして今、かつてのご夫婦の居城は時を経て住民憩いの公園に。小生はまだ生まれていないので知る由も無いが、昭和初期、まだ魚市場が無かった頃は湾右手の近海船が停泊しているところから魚の水揚げをしていたと聞く。現在の魚市場は奥に左からグルッと一回り、2kmほど行った所。さて、公園の背後に目をやると今度は見事なコントラストの紅葉が一面真っ盛り。間近に見ると黄色いイチョウの鮮やかさに目を奪われる。移ろう季節、秋が一番いい。震災から年月を重ね、いまだに気仙沼の街並みはちょこちょこ変化。その様相を日々眺めるのもまた楽しい。