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コラム:大戦

先の大戦。終戦の時期になると毎年、TV特番が組まれる。国は『終戦記念日』と言う体裁の良い語彙を使うが個人的には国の罪を汲み、あえて『敗戦記念日』と呼びたい。お盆中に撮りためていたドキュメンタリーの一本、『太平洋戦争・国家総力戦の真実』を観た。大戦に対する意識の風化を感じつつある中、改めて当時、国の指導者たる者達が犯した取り返しのつかない愚かさを恥じざるを得ない。戦後処理においては戦勝4ヶ国によって日本を割譲する計画が秘密裏に進められた。北海道、東北はソ連に。関東、北陸、信越はアメリカに。関西、近畿、四国は中国に。そして山陰、九州はイギリスに。詳細は割愛するが統帥権を持つマッカーサー元帥がこれに強く反対し、辛うじて免れた。が、もしこれが実現していたらと思うとゾッとする。故・大橋巨泉氏が生前に残した言葉、「じいさん達が戦争を計画立案し、おじさん達が指揮命令し、そして次の国を背負うべき大切な若者が捨て駒の如く犠牲となった。」あろうことに亡くなった実に6割の若者は戦わずしてマラリアなどの伝染病や補給も無い中、飢えで命を落としたとも言われている。日本人の総犠牲者数としては実に310万人超、当時の人口で換算すると驚くべきことに約25人に一人が亡くなったことになる。悲劇の元凶は皆、じいさんたる指導者達のエゴとおごりと傲慢さの賜物以外何物でも無い。戦争の名分はアジア共栄圏だの植民地解放のための侵攻としている。が、中国満州国にしても韓国併合にしても人様の土地と資源を強奪し、日本の思想教育を植え付ける、紛れもない悪行極まりない侵略だと理解する。武力によってのみ成果を得ようとする身勝手な蛮行に正当な理由など存在しないと断罪したい。国民を嘘にまみれたプロパガンダで愚弄。戦況に挽回の余地が無い中、帰還が許されない特攻、人間魚雷艇、捕虜になる前に自決せよ。どん詰まりの折には女、子供も竹やりを持って『国民総玉砕せしむ。』などと声高に進言するじいさんも少なからずいて正に狂気の沙汰だ。敗戦後そんな戦犯達を靖国社中方は昭和天皇の意に背いて合祀を強行。以来、皇族方はそれを機に靖国参拝を取りやめ、現在に至っている。片や『みんなで靖国に参拝に行こう!』の掛け声よろしく垣根を超えた国会議員様連中は春・秋そして8月15日、靖国だけに重きを置いた参拝を行う。「お国のため英霊となった方々に.....。」テレビに映る高市早苗議員の毎度、判を押したコメントには辟易、戦犯合祀については「デリケートな問題なので。」と、口を濁す。政教分離を盾にした曖昧な調子は今後も変わらないとみる。なので、中国、韓国が何十年経とうともこれに反発するのは必然。他方、同じように愚かな国策の犠牲となられた戦没者墓苑の『千鳥ヶ淵』の方には目もくれないのは何故なのか。先の敗戦から80年弱。日本のかじ取りを担っている方々の言動には時代が変われど憂いは尽きない。