気仙沼のふかひれ屋さん 気仙沼のふかひれ屋さん
 · 

英隆おじさん

伯父(父の兄)の御霊(おみたま)が浄土たる天上界へ召された。伯父さんは住職として格も不乱に精進し、半世紀の長きにわたり御寺の隆盛に努めてきた。称えようのない功績は誰もが認めるところ。振り返れば伯父さん夫妻には、先の3.11震災直後、灯油やら野菜やら沢山積んで、いち早く気仙沼に駆けつけてくれ皆、涙したことが昨日のことのようによみがえる。伯父さんは何かとこまごま小生を気にかけてくれた。小生が若い時分には見透かされたように、「純明や、ひとめ惚れは失敗するからな。嫁は顔だけで選んだらだめだぞ。」またある時は、「純明や、商売はうまくいってっか?大儲けはいいから細く長くな。お客さん大事にな。」伯父さんから諭されると「ウン、ウン。」不思議と何でも素直に聞き入れられる。最後に会ったのは一昨年秋口、叔父(父の弟)の納骨時だったかと。「俺が生きているうちに、お前の息子らの嫁を見せに来いよ。」、、この時が今生の別れとなるとは。しばし、たわいもないことを話し込んでうっかりしていたが、ツーショットを撮っておけばよかったと、今更ながら切に悔やまれる。伯父さんと別れ際に手を交えた時、「純明や、俺の線香あげに来てくれよ。」伏し目がちに、ちょっと寂しそうだった表情を思い出すと切ない。。「おじさん!、小生、救いようのない大煩悩にまみれています故、その時が来てもおじさんの天上界には恐れ多くも行くことは許されませんので、せめて親父をよろしくお願いします!」─合掌─南無遍照金剛、南無英隆大和尚